saci perereの山暮らし

浅間山北麓で山暮らし始めました

寄り道

週末はリハーサルとライヴがあるので山を降りて湘南へ。

朝から快晴、気温-4℃(この日の最低気温は-5℃)。洗濯してる間に薪ストーブや焚き火の灰を始末して、山小屋中掃除して、外壁に沿って積もった枯葉を掻き出して、床掃除して、最後に水を落として山小屋を出発。

最近、浅間山北麓から湘南へは八ヶ岳経由で向かうのがお気に入りのコース。

中軽井沢〜追分〜御代田と降りてきて、佐久市に入る。北側には刈り取った田んぼ越しの浅間山、南には遠くに八ヶ岳連峰、西にはさらに遥か向こうに雪を纏った北アルプスの峰々。素晴らしいロケーションですね(典型的な盆地の気候で、夏は結構暑くて冬は寒いが雪は割と少ない)。車を止めるスペースを見つけるのが難しくて写真を撮れなかった。残念。

佐久北ICから中部横断自動車道(長野区間:無料)を経て八千穂高原IC(終点)へ。そのまま南下しないで、ちょっと寄り道。R141を少し北上して千曲川の辺りにある黒澤酒造さんへ。今回で3回目か4回目の訪問。蔵元近くの千曲川にかかる橋からは浅間山がよく見えました。

今回のお目当ては北八ヶ岳山麓松原湖氷室貯蔵のMARUTO。けれど蔵元ショップの方の話に影響受けまくりで結局四合瓶3本買ってしまった〜 まずは写真右側の生酛黒澤(こだわりの自家栽培米の山恵錦で精米歩合90%!)から。淡い琥珀色、おすすめのぬる燗で頂くと、それほど個性は強くないがしっかりした味わい、いろんな料理に合わせられそうな、そして飲み飽きしない美味さ。かなり良いな。残りの二本も楽しみだ。

R141を南下して次は八峰温泉へ。此処にも前に2、3度訪れている。八峰の湯はpH6.9で単純塩化物泉で湯上がりさっぱり。そしてなんと言っても八ヶ岳を一望できる露天風呂が魅力。前回は雲に覆われてほとんど見えなかったが、今回は赤岳、それに被る横岳の長い稜線がバッチリ見えました。ここは松原湖含め散策路が整備されており、さらにすぐ隣には小海高原美術館もあって時間があればもっとゆっくり過ごしたいところだ。そして八峰の湯からも白樺林越しに浅間山が見えた。ちなみに此処には食堂も併設されていて、蕎麦や丼ものも良いが、トンカツ定食が旨し。個人的にはおすすめだ。

鰭酒と初雪の夜

山小屋秋山荘のリビングからの眺めはすっかり冬景色となった。落葉した林は明るくて、青空も綺麗に見えるし、陽が地面まで届く。前日は妙に暖かったが翌朝は2℃ほど。空気がピリッとしてきた。

朝から新築一年点検に立ち会った。どうしてもクロス張りのところなどに隙間が空いてきたり、外壁の板の反りも目立つようになる。昨年より激減したもののカマドウマの侵入は防ぎきれていない。床下の通気孔や玄関ドアの隙間、通信ケーブルなどの引き込み穴が、すでに対策してあるのにまだ十分でないらしい。通気孔は薪ストーブの周辺に最低限残し、あとは塞ぐことにした(基礎は全体コンクリートなので地面からの湿気はほとんど影響無いようで、一旦乾いてしまえば通気孔はなくても大丈夫とのこと)。

1時間半くらいで点検を終えてからは、焚き火をしながらのんびりと薪割り。のんびりといっても結構捗って、つい頑張りすぎてしまいお昼ご飯を食べ損なってしまった。松の薪割りしたらまた鉄砲虫が出てきた。と、カサカサと音するなあと思っていたら粉雪だった。天気良かったはずなのに粉雪が舞うかと思えばしばらくすると陽が差したりと目まぐるしく変化した。上着についた粉雪はあの雪印の結晶になっていなかったので、結晶が育たずに一気に凍ったのだろう。陽が傾いてきてさらに寒くなってきたので薪割りをやめて、ゆっくり湯船に浸かって体を温めた。

夜は防寒ばっちり着込んで近くの行きつけの料理屋に。奥に宴会が入っていて、なんだか大将忙しそう。女将さんが料理は時間かかる、大将は3時間待ってね、とのことだったが、大将は宴会の料理の手を休めてsaci perereのためにさっさと作ってくれた。でも女将さんが大将に小言を言って大将は腹を立てて…と、どうしましょう?って雰囲気の中、気づかないふりして本を読みながらゆっくり飲み食いした。

普段はないフグ料理がメニューに載ってて、フグのアラの天ぷら頼んで、宴会料理が落ち着いてきた大将に「これうまいねー」って言ったら「昨日は三人の宴会だったけど、メニューに無い面倒臭い料理ばかり頼むんだよ」と大将。わーまた機嫌悪い方向か?と思いきや、どうもその面倒臭い料理がフグ料理だったそうで、そのおかげで今日は山口県産トラフグを格安で食べさせてもらえたわけだ。大将が「これもいいぞー」とフグ皮ポン酢。「口に含むと体温でコラーゲンが溶けてゆくんだよ、それから味わって噛んで」うーそこにぬる燗の日本酒を流し込んだものだから、もう口の中に旨みが広がる広がる。「鰭(ヒレ)酒はどうだ?」と大将から追い討ち、もう断る理由は見当たらない。炙ったヒレを日本酒に入れて蓋をしてあっつあっつの熱燗に、マッチを擦って蓋を開けてすぐ近づけると揮発したアルコール分が一気にポッと燃える。香り立つ鰭酒の完成だ。さっきまでの居心地の悪さはどこへ。女将さんもやってきてこのヒレあと3〜4回は使えるから、家でもやってみてと、持ち帰り袋を用意してくれた。

店を出ると雪が降っていた。浅間山北麓の初雪。心地よく酔って熱った頬に雪が気持ち良い。写真は家の前の小径に設置した外灯付近。積もり始めた雪で小径が明るい。

最低気温−2℃。翌朝まだ-1℃だったが、地面もまだ冷え切ってないし朝日が出て一気に雪が溶けてゆく。

午前中に雪化粧した浅間山を拝みに出た。いつもなら嬬恋鎌原からの写真をお見せするところだけど、長野原と嬬恋の境に近い、長野原応桑に良い感じのスポットを見つけた。

長野原応桑からの浅間山(2025.11.19)



 

落ち葉の絨毯

週末の藤沢と町田での演奏を終えて、浅間山北麓の山小屋に戻ってきた。

すっかり葉が落ちて山小屋の前の小径はまさに落ち葉の絨毯のよう。夕陽が当たると落ち葉が輝いて見える。日没前の大好きな瞬間だ。

今日は日中意外にも暖かくて(15℃くらいまで上がったかな)びっくりしたが夜になって冷えてきた。明日からはしっかり冷え込むらしい。薪ストーブが頑張ってくれているが初日は大体家が冷えててなかなか温まらない。

前々回ブログの晩晩秋の中盤の中、「秋日」という短い曲を作りました。よろしければご視聴ください。

今週からいよいよ水道管の凍結防止ヒーターを入れます(=お金が掛かる)。

そして明日は山小屋の(2ヶ月遅れの)新築一年点検だ。

晩晩秋の終盤

前回「晩晩秋の中頃」を書いて、翌日は予報通り雨となった。浅間山北麓は雨だったのだけど、浅間山には雪が降ったようだ。またまた北軽井沢観光協会https://www.facebook.com/kitakarukanko)の写真を拝借して申し訳ないが、自分で撮ろうとした時は姿を見ることができなかった。初冠雪からあまり日を置かず、今シーズン二度目の冠雪。

北軽井沢観光協会のFBページの11/9の投稿から拝借

冷たい雨の中散歩もできないので、車で30分の草津へ温泉に浸かりに行った。せっかくなので温泉街にある安斎商店で土田酒造のお酒をゲット。大滝の湯で温まった後は温泉饅頭を食べて帰ってきました。そうそう草津に登る途中に毎年松茸を売っている小屋があるのだけど、そこに寄って「5,000円買える松茸があったらください」とそれでも奮発して買ってきた。車の中は松茸の香りが充満し、それだけで幸せな気分だ。草津浅間山北麓より標高は高いが、モミジの紅葉が素晴らしく綺麗だった。雨の温泉街での紅葉狩りが予想以上で来た甲斐があったと、温泉街を歩く見知らぬ老夫婦と意見が一致した。

翌日、雨の上がった山小屋のリビング前の林を見ていると、梨木香歩さんの言葉を借りれば、これはいよいよ「晩晩秋の終盤」だという感じがする。山は刻一刻と冬へと向かっている。

さて、何度か書いてきた伊豆高原の知り合いに作っていただいた「ATLIER秋山荘SHUZANSO」の表札(というか看板というか)をやっと山小屋の外壁に取り付けた。外壁にボンドで接着するようにと接着剤まで用意してくれていたのだが、外壁は定期的に塗り直す必要があるので、取り外しできるように金具を自作して壁に設置した。なかなかうまくいったと思う。音楽や絵の制作にもきっと更に力が入るようになるに違いないと思わずにはいられない。

秋山荘の晩晩秋の終盤、カラマツやブナなどの黄葉が降り積り、葉を落としつつある森が次第に明るくなってきた。

 

晩晩秋の中頃

紅葉は秋と思いがちだが実は冬の入り口だ。標高約1,000mの浅間山北麓の山小屋は今、一年で一番彩り豊かな最中だ。前掲の梨木香歩さんの言葉を借りるならまさに晩晩秋の中頃。もうあと数日で晩晩秋の終盤というところ。地元では浅間に3回雪が降ると麓でも積もるという。つまり冬の合図だ。すでに初回は済んだ。皆、冬越しに向けての準備に慌ただしいこの頃。今日は朝から快晴、明日は雨予報なので今日は薪割りはやめて晩晩秋の浅間山を探しに出た。

まずはやっぱり山小屋を建てるきっかけとなった嬬恋鎌原のキャベツ畑越しの浅間山。最後のキャベツの収穫を終えて畑を鋤き混むトラクターと浅間山

そして季節ごとに違う表情を見せてくれる浅間牧場からの浅間山

そして同じく浅間牧場から浅間山四阿山草津本白根山を望むパノラマ。

快晴下、遠くに冠雪の北アルプスも見えます。

時折鮮やかな紅葉も残るもののカエデなどの紅葉のピークを過ぎてくすんできた。一方、カラマツやブナ、ミズナラの黄葉は今真っ盛りだ。あと1〜2週間ほどすれば、冬越ししない別荘族は山荘を閉じ、観光客も激減、静かな初冬の始まりだ。

 

早、晩秋

好きなエッセイの一つに梨木香歩さんの「晩秋と初冬の間」というのがある。他人の文章を引用するのは、長くなるしあまり好きではないのだが、梨木さんの文章はとても綺麗なので、それこそ長くなるが引用させていただく。

 

『季節が秋の深まりに向かう時期、八ヶ岳を離れた。その直前まで目を奪われるような鮮烈さで景色の色合いが変わっていっていたので、何とかこの秋のうちにもう一度ここに戻りたいと思った。いつの季節も実はそうなのだろうが、この時期の劇的な変化は一年のハイライトとさえいえるのではないだろうか。

 たとえていえば、生まれてから上り坂一直線だった生命エネルギーが、ある年齢を境にしてがくんと下り坂に変わる、その瞬間、昨日まで無意識の流れ作業でこなしていた様々なことを前に、気分は同じつもりでいるのに、急に一つ一つ、スムーズに流れていかない仕儀に陥り、立ち止まってまじまじと見直すはめになる。それまでは若さの勢いで隠蔽されていた何かが露わになる、そのものの本質が奏でる幽(かそけ)き旋律(メロディー)が、秋の清涼な空気のおかげで、初めて耳まで届く、ような。緑一色だった葉っぱの一枚一枚の「老い方」に個性や味わいが滲み出てきて、まるで初めて出会ったかのようにしみじみと見つめてしまう。なぜこれが見えなかったのか。いやようやく見えるまでにときが熟してきたということなのか。

 だが何とか時間を見つけ、八ヶ岳へ(駆けつけるようにして)戻ってくると、あの燃えるようだった紅葉はすでに艶をなくし、ほとんどが落葉していて、かろうじて葉を落とし切っていないものも、見ているうちにどんどん残った葉を風に散らされていく有様。赤岳はすっかり雪に覆われ、不穏な灰色が一癖も二癖もある側近のように始終まとわりつき、顔が見えない。まるでずっと遠くに行ってしまったようだ。心にひんやり、冷気が通り抜ける。もうすぐ南岸低圧がやってくるのだ、冬山遭難の季節が。しかしまだ季節は晩秋から初冬に移り変わろうとしているところ。いうなれば、晩晩秋の中頃、といったところ。それもこの一瞬一瞬に、晩晩秋の終盤へと変わりつつある。止め処がない。けれど自然はいつもそうやって駆け続けているのだろう。(後略)』(梨木香歩著「歌わないキビタキ 山庭の自然誌」より「晩秋と初冬の間」 2023年毎日新聞出版

 

知らず知らず、八ヶ岳浅間山北麓、赤岳を浅間山に読み替えて感じ入ってしまう。そう、山の秋はなにか、美しい紅葉が落葉していく中で、じってしていたいのに急かずにはいられない、不思議な感覚に陥る。もちろん春の新緑や夏の鬱蒼とした森、冬の落葉しきった明るい木立もそれぞれに良いが、この変化の只中にある秋の情緒は格別だ。こういった経緯もあり、実はこの浅間山北麓の山小屋を「アトリエ秋山荘(しゅうざんそう)」と勝手に呼んでいる。前出の伊豆高原のご夫妻にこの話をしたところ、そのデザイナーの旦那さんが表札看板を作ってくれたわけである。その後、先に紹介した梨木さんのエッセイを読み、ああ自分の気持ちはこうだったんだと、逆に教えてもらった感じ。梨木さんの一連のエッセイが2020年「炉辺の風おと」、2023年「歌わないキビタキ」、2025年「小さな神のいるところ」と単行本で出版されているので是非。

 

11月3日、浅間山初冠雪。季節は実に駆け足で移ろいゆく。

北軽井沢観光協会FBページの11/4の投稿から拝借

https://www.facebook.com/kitakarukanko

秋晴れ!

昨夜は冷え込んだ。そのせいか紅葉がさらに進んだようだ。そして朝から久しぶりに気持ちよく晴れた!さあ今日はあれしよう、これしよう、と算段しながら朝食を用意していたら、”ドシャン!”と何か落ちる音。外を見ても何も起きてない。壁から額縁が落ちたか?と焦ったが大丈夫。果たして玄関の洋服がけの突っ張り棒が壁からずれ落ちて上着やチャーソー用の安全服などが落下した音だった。やっぱりだんだん木が反るのか突っ張るだけではダメらしい。というわけで急遽突っ張り棒の下支え棒を作ることにした。以前もらってきた材木で使えそうなものを選び必要な長さに切り、いくつか形状に合わせて削り、ヤスリ掛けした。物置に置いてあってなんだか湿っぽかったので薪ストーブの裏に立てかけてしばし乾燥。ちょうど良いニスがなかったので完成とはいかなかったが、とりあえず準備はできた。ついでに昨秋チェーンソーで薄めに(といっても5cmくらいの厚さ)スライスして一年乾燥させたブナの板にヤスリ掛けした。こちらもニスは後日。とりあえずお盆と言うかトレイと言うか、ちょっとワイルドな感じのなんかできたので使ってみた。

時刻はお昼過ぎ。あまりによく晴れているので散歩に出た。まだまだ紅葉ピークとはいかないが青空に木々の色付きが映えて美しい。

近くのお気に入りの畑の中の道を目指した。いやー実に見事に晴れて浅間山は勿論、四阿山草津白根山、白砂山などなど、まだ残るキャベツ畑とのコントラストも良いな。

さてさて、7月以来の自炊リポート。全く腕は上がってませんが、少しは要領良くなってきたかな?今回のテーマ?は湘南と群馬県の食材の融合!全然大それたものではなくて、湘南の家の畑で採れたナスとシシトウとミョウガと、群馬県産のまる豚、キャベツ、どんこシイタケ(あ、これは長野県産だった)、ネギ、卵、そして三升漬け(一般には東北の郷土料理でご近所さんの女将さんの手作り)を使うということ。

それぞれ別の日の夕食。まあ、両方とも似たようなものなのだが、左は回鍋肉風味噌炒めがメインで、右は豚肉(あまり見えてないが)ネギ炒めうどんがメイン。どちらにもたっぷりシシトウが入ってます。見た目はイマイチですがそれなりに美味しくできました。

明日も冷え込むが、晴れるらしい。